
「ミイリ~、なんか『エレベーター』の声優オーディションをやるみたいよ」
「“ウェアガルルモン”に“カミナリモン”って…、モデルを用意してないのならアイテムに追加すんなよ…気になって仕方がない…(ブツブツブツ)」
「…………。ミイリが今、“デジモンワールド1”をやっているコトが分かる人たちはごくごく少数派だから、まずは普通にプレイしなよ」
「あ、レイチェル…?どうかした?──今ちょうどパンジャモンをデビルチップでドーピングしてて忙しいんだけど(カチャカチャ…)」
「うん、まずはコントローラーを置いて。肉畑に行こうとしないで。ていうかそのコントローラー、正規品じゃない気がするんだけど」
「うん…、今行く…」
「……この前さ、照りマヨチキンロールが復活したと思ったらタルタルチキンサンドに名前が変わってたワケ」
「おっ、ヘラカブ2枚目きた」
「──…元々、マヨネーズだったのがタルタルソースに変わったんだから、それはきっと美味しいと最初は思ったの。けど、やっぱりタルタルソースだと酸味が足りないのよね。ファッションもそうだけれど、本当に旨い食べ物というのは引き算なんだわ。派手なジャケットに合わせるのが派手なズボンでは駄目、お洒落な味のものに組み合わせるのはメジャーで家庭的な味のものであるべきなのよ」
「それで、オーディションやるの?」
「うん。なんでも最初は『どうせ1人も来ないんだろ!』とか思っていたら、ありがたいことに順調に人数が集まっているらしくて──」
「ああ、それで女の子の参加希望者からメールが来る度にニヤニヤしてたのね気持ち悪い」
「突然だけど、審査内容を簡単に説明するね」
「どうぞどうぞ」
「審査員は3人ほどで、1人1人を審査する予定。最初はどこか空いている部屋に全員集まってもらって、資料室等で順番に行なうみたいね。審査基準はメイド服が似合うことと──」
「それ中止しなよ」
「──冗談。ミイリ着てよ。えーと、審査基準は…まずは最低限“聞こえる”こと」
「ん」
「あとは“キャラクターの雰囲気に合っている”かどうか、らしいよ。少なくとも作者は」
「……つまり、他の審査員は真面目に審査してても、最終的には制作者のワガママで決定するということね…」
「そうそ」
「…………」
「審査の内容を少しだけ説明すると、まずは簡単な自己紹介。あとは実際にキャラクターが喋る予定の台詞をいくつか言ってもらう予定だそうな。『せいぜい緊張して下さい』とのこと」
「…………」
「大体はこんなところ。あとは──、もしかしたら他のアニメーションの作者が審査員に居て、引き抜きにかかるかも?『落ちても落ち込んだりしないでね』だそうです」
「…………(カチャカチャ…)」
「ミイリ?」
「防御チップ4枚目~!」
「まだやってたの」